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発散防止抑制装置とは?局所排気装置との違いについても解説!

2026.02.xxに公開

有機溶剤や特定化学物質を扱う現場では、作業者の健康被害を防ぐための換気対策が欠かせません。そこで注目されているのが、発散防止抑制装置です。局所排気装置よりも低コストで導入できます。

本記事では、発散防止抑制装置の概要や設置するメリット、関連する法案までわかりやすく解説します。

作業者の健康被害を予防するための設備として設置を検討している方は、ぜひ参考にしてください。


発散防止抑制装置とは?

発散防止抑制装置とは、有機溶剤などを使用する作業現場において、有害物質の拡散を防ぎ、作業者の健康被害を防止するための設備です。ここでは、発散防止抑制装置の概要と局所排気装置との違いについて解説します。


発散防止抑制装置の概要

発散防止抑制装置とは、有機溶剤や特定化学物質などの有害物質の濃度を低減するための装置です。有機溶剤の蒸気が拡散してしまうと、健康被害や環境汚染につながってしまいます。

これまでは労働安全衛生法により、有害物の発散を防止・抑制するために、「局所排気装置等の設置」が義務付けられていました。しかし、不純物の混入を厳しく管理する食品工場などでは、窓の設置や局所排気装置の導入が難しいケースが多く見られます。

こうした現場の実情を受け、2012年3月に発令された厚生労働省発基安0327第1号により、一定の要件を満たす場合に限って局所排気装置の設置義務が緩和され、代替措置として発散防止抑制装置の利用が認められるようになりました。

ただし、導入には所轄の労働基準監督署に申請し、特例実施許可を受ける必要があります。

出典:厚生労働省|「厚生労働省発基安0327第1号」


局所排気装置との違いについて

局所排気装置との違いは、装置の構造と有害物質の処理方法にあります。

局所排気装置は、有機溶剤や特定化学物質を取り扱う作業環境において設置が義務づけられている装置です。給気口やフード、ダクト、排風機などから構成されており、吸気口から取り込まれた空気は装置内部で清浄化され、きれいな空気のみを屋外へ排出する仕組みです。

一方、発散防止抑制装置は屋外への排気設備を持たず、装置内部のフィルターによって有害物質を吸着・分解し、空気を室内で循環させます。そのため、ダクト工事が不要で「ダクトレス」と呼ばれる製品が多く、設置場所の制約が少ない点が局所排気装置との大きな違いです。


発散防止抑制装置に関連する法案

発散防止抑制装置は、有機溶剤や特定化学物質を取り扱う作業現場において、作業者の健康被害を防止するための重要な設備です。これらの装置は、単に機械を設置すればよいというものではなく、労働安全衛生法をはじめとした複数の法令に基づき、設置条件、運用方法が定められています。

ここでは、発散防止抑制装置と関係する主要な法令について、それぞれのポイントを解説します。

労働安全衛生法

労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成することを目的とした法令です。有機溶剤や化学物質による健康被害の防止もこの法律の重要な柱の一つであり、事業者には危険性や有害性を把握したうえで、適切な設備や措置を講じる義務が課されています。

ただし、原則は局所排気装置などの設置であり、発散防止抑制装置は法令で定められた条件を満たし、行政の許可を受けた場合に限って認められる点が特徴です。

出典:e-GOV|労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)

有機溶剤中毒予防規則(有機則)

有機溶剤中毒予防規則(有機則)は、塗料やシンナーなどの有機溶剤を使用する作業において、労働者の中毒や健康障害を防止することを目的とした法令です。吹き付け塗装作業では、有機溶剤の蒸気が発生するため、局所排気装置であるスプレーブースなどの設置が義務づけられています。

有機則では、事業者が屋内作業場などで第一種または第二種有機溶剤を扱う業務に労働者を従事させる場合、原則として有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、またはプッシュプル型換気装置を設置しなければならないと定められています。

これは、作業者が有害な蒸気を吸い込むことを防ぎ、作業環境中の溶剤濃度を管理濃度以下に保つためです。

なお、局所排気装置の設置が構造上困難な場合には、一定の要件を満たし、所轄の労働基準監督署の許可を受けることで、発散防止抑制装置を代替措置として用いることが認められる場合があります。

出典:e-GOV|有機溶剤中毒予防規則(昭和四十七年労働省令第三十六号)

特定化学物質障害予防規則(特化則)

特定化学物質障害予防規則(特化則)は、発がん性や重篤な健康障害を引き起こすおそれのある特定化学物質を対象に、より厳しい管理を求める法令です。

第一類物質や第二類物質などを製造または取り扱う作業では、作業環境中へのガスや蒸気、粉じんの発散を防止するため、局所排気装置などの設置が原則とされています。ただし、特化則においても、有機則と同様に、局所排気装置の設置が困難な場合には、発散防止抑制装置を用いた代替措置が認められるケースがあります。

この場合も、装置の性能・管理体制が十分であることを示し、所轄の労働基準監督署の許可を受けなければなりません。

出典:特定化学物質障害予防規則(昭和四十七年労働省令第三十九号)


発散防止抑制装置を設置するメリットは?

発散防止抑制装置は、有機溶剤や特定化学物質を扱う現場において、作業者の健康被害防止と作業環境の安全性向上を両立できる設備です。ここでは、発散防止抑制装置を導入することで得られる主なメリットについて、具体的に解説します。

有機則対策ができる

発散防止抑制装置を設置するメリットの一つが、有機溶剤中毒予防規則(有機則)への対応が可能になる点です。有機則では、第一種・第二種有機溶剤を使用する作業において、局所排気装置などの設置が原則として義務づけられています。しかし、構造上の理由や異物混入リスクなどから局所排気装置の設置が困難な現場も存在します。そのような場合でも、一定の要件を満たした発散防止抑制装置を導入し、特例実施許可を取得することで、法令に適合した作業環境を構築できるのです。

適切に運用することで、作業環境測定の管理区分維持にもつながるでしょう。

切粉・火花・破片などの飛散(発散)を抑え、安全性を高められる

発散防止抑制装置は、有機溶剤の蒸気だけでなく、作業中に発生する切粉や火花、微細な破片などの飛散を抑制する効果も期待できます。これらが作業場内に拡散すると、作業者の負傷リスクや設備トラブル、製品品質の低下につながるおそれがあります。

発散源の近くで空気を吸引・制御することで、有害物や異物の広がりを抑え、作業空間をより安全な状態に保つことが可能です。その結果、労働災害の防止や、安定した作業環境の維持にもつながります。

ダクト取り付け工事をする必要がない

発散防止抑制装置は、屋外へ空気を排出しない構造のものが多く、ダクトの取り付け工事が不要です。局所排気装置では、壁や天井への穴あけ、長距離ダクトの敷設、屋外排気口の確保など、大規模な工事が必要になるケースも少なくありません。

一方、発散防止抑制装置であれば、既存の建屋を大きく改修することなく導入できるため、工期短縮や初期費用の抑制につながります。稼働中の工場や限られたスペースでも導入しやすい点は大きな利点です。

局所排気装置と違い移動が可能

発散防止抑制装置は、装置単体で機能するタイプが多く、設置後も移動できる点が特長です。生産ラインの変更や作業内容の見直しに合わせて、柔軟に設置場所を変更できるため、将来的なレイアウト変更にも対応しやすくなります。

局所排気装置のように固定式で大掛かりな工事を伴う設備と比べ、運用の自由度が高い点は大きなメリットです。複数工程で使い回したい場合や、期間限定の作業にも活用しやすい設備といえるでしょう。


発散防止抑制装置に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、導入を検討する際によく寄せられる質問について答えていきます。

発散防止抑制装置はすべての現場で必要ですか?

発散防止抑制装置は、すべての現場で必須となる設備ではありません。有機溶剤や特定化学物質を扱わない作業や、すでに適切な局所排気装置が設置されている現場では、必ずしも導入する必要はないからです。

一方で、局所排気装置の設置が構造上困難な場合や、異物混入を避ける必要がある食品工場などでは、有効な代替措置となることがあります。使用物質や作業内容を踏まえた判断が重要です。

局所排気装置があれば発散防止抑制装置は不要ですか?

原則として、法令要件を満たした局所排気装置が適切に設置・管理されていれば、発散防止抑制装置を追加で設置する必要はありません。局所排気装置は、有害物質を発生源で捕集し屋外へ排出するための基本的な対策です。

なお設置後は1年以内ごとに1回、定期自主検査を行う必要があります。

導入後に効果が出ない原因は何ですか?

発散防止抑制装置を導入しても効果が十分に得られない場合、装置能力と使用条件が合っていないことが考えられます。対象物質の種類や使用量が想定を超えている場合や、フィルターの交換・点検が適切に行われていない場合は、性能が十分に発揮されません。

また、設置位置が発散源から離れていることも、効果低下の要因となります。

既存設備に後付けできますか?

点検や測定はどのくらいの頻度で行うべきですか?

局所排気装置は1年以内ごとに1回、定期的に自主検査を行わなければならないと規定されています。フィルターの状態確認やセンサーの動作確認は、メーカーの推奨頻度に従って定期的に実施しましょう。

また、有機則や特化則の対象となる現場では、作業環境測定を定期的に行い、第一管理区分を維持できているか確認することが求められます。


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発散防止抑制装置の導入を検討するなら、専門的な知識と実務経験を備えた株式会社ベリクリーンにお任せください。ベリクリーンでは、発散防止抑制装置として厚労省から正式認定された製品を数多く取り扱っています。

装置選定はもちろん、導入前のヒアリングや労働基準監督署に提出する資料などの許可取得に向けてのサポートが可能です。発散防止抑制装置についてお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

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